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アルツハイマー認知症の治療法

閃く脳

アルツハイマー認知症は複雑な病気だと理解する事が重要

他の病気のように、このお薬を飲めばある程度症状が緩和する、痛みを止めることができる、症状を維持できるという事が難しいのがアルツハイマー認知症です。
とても複雑な病気で、治療がうまくいっていても何か予期せぬことが起ると、いきなり進行し始めることも少なくありません。

何かをすれば進行が止まり、お薬を飲めば症状を抑制できるという事がいえない病気なのです。
現代の医学の中では、アルツハイマー認知症の患者さんの精神機能を出来る限り維持するためにサポートするという事が治療の主軸となります。

治療薬には何が利用されるのか

アルツハイマー認知症の治療薬は、必ずしも利用した方全員に効果があるというものではなく、効果がある人もいるし、ない人もいるというものです。
一定期間は効果があったけれど、その後、効果が無くなったという事もあります。
米国食品医薬品局ではドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどのお薬を軽度、中等度のアルツハイマー認知症の患者さんに利用します。

中等度から高度という場合は、メマンチンというお薬を利用します。
こうしたお薬は、ニューロン(脳を構成する神経細胞)の間の情報を伝達する神経伝達物質の働きを阻害する酵素の働きを阻害するというお薬で、思考や記憶、さらに発語の力を維持するために利用されます。
しかしいずれのお薬も、アルツハイマー認知症の症状、進行を食い止めるという事ではなく、人によって効果があったりなかったり、一時的な物だという事を忘れてはなりません。

日本ではアリセプト(ドネペジル)というお薬がよく利用されます。
アセチルコリンという脳の神経伝達物質を分解する酵素の働きを抑制するお薬です。
酵素によってアセチルコリンが少なくなると記憶や物事を考える力などが弱くなっていくため、このお薬を利用し、アセチルコリンが少なくならないようにバランスを取ります。

問題行動や心理に対する治療は?

他の病気は対処療法でもお薬があり、こうすれば効果があるとされる治療方法があるという病気が多いです。
しかしアルツハイマー認知症の場合、こうすれば効果があるという治療方法が厳密的にはない、というのが問題なのです。

夜になっても眠らない、興奮状態が収まらない、徘徊などを繰り返すといった問題行動は、現代の先進的な研究の中でも、確固たる理由がわからないのです。
ただ、専門家による心理症状や行動の治療を行う事によって、アルツハイマー認知症の患者さんの気持ちが落ち着き、問題行動が少なくなるという事もあります。
場合によってはかなり効果が発揮されますし、全く効果がない事もある、これもお薬の治療と同じく、確固たる治療となっていないのが現実です。